## 水素の粉末

写真でしかないが、私は室温で粉末の水素を見たことがある。
たぶんこれを水に混ぜて飲むと体内の活性酸素を減らして
くれる効能があるということなのだろうと思う。

しかし水素化合物と書けば問題もなかろうに水素とは。

このように、特に水に関するものについてはインチキ商売が多い。
やれ波動だとかやれπなんとかだとドクターなんとかだとか
古来から種は尽きない。中には本当のものもあるかもしれないが
いくらなんでも粉末水素についてはインチキだろう。

## 偏見からの脱出

世間と同じように、私もこの種の商売についてうさんくさいもの
だと感じていた。消費者の無知に付けこんで売り付けるものだと
思っていた。

しかしながら、アルバイトをして考えが変わった。

ある物流会社のアルバイトで水に関するあやしげな商品の梱包を
手伝ったのである。

何人もの人が丁寧に封入物を配置して、ご挨拶の紙を載せて
箱に詰めて、ビニールでラッピングする。そしてカートに
載せて配送業者に引き渡す。

つまりこのインチキ商品(と断言してしまっていいのかわからないが)は
物流業者と配送業者の仕事を作り、雇用を生み出しているのである。

もちろん印刷業者、ビニール業者その他さまざまな業種の
仕事を作っている訳でもある。

そして買っている人が満足しているのだったら、おそらく
体には害はないだろうから、みんなハッピーではないか。
そう思うようになったのである。

## アベノミクス第3の矢

この種の詐欺的な商売については正業と思われないことが多い。
科学的根拠がないとか価格が不当に高いとかなんとか文句がつけられる。

でもそんなに排斥すべきものなのだろうかと思う。

危険ドラッグの類いやマルチまがい商法については規制がかかる
べきだろうとは思う。

しかし悪影響が特にないインチキ商品というのはそう偏見の眼で
見ることもないのではなかろうか。

無知に付け込んでいるわけではあるが、人間の欲望を満たして
おり、喜んで買ってくれる商品を企画しているだけでなく、
現に雇用を生み出しているのである。

ここにある種の(本当にある種の)ヒントがあるように思う。

アベノミクス第3の矢というのは、たとえインチキ商品であろうと、
人間の欲望を満たす商品の開発というのが何にも増して
重要な鍵を握っていると思える。成長戦略というが結局
何かが売れるということである。

本当にインチキならば自然と淘汰される。インチキだろうと
なんだろうと喜んで買う、喜んで投資する商品の開発について
国から指導されることなどなく民間は本腰を入れるべきだと思う。