以下の2つのアルゴリズムは独力で考案したものだが、
自由に使用・改変・配布・放送・上演・出版等して構わない。
著者への連絡も不要である。

## ペアリング

特に男性に多いと思うが、洗濯した靴下のどれとどれを
一緒にするのか(ペアリング)が難しいという問題がある。男性の靴下は
黒が多いので、区別が付きにくい。かつての上司は

> 「同じ靴下だけにするのが男の夢ですね」

と仰っていた。あまり大きな夢ではないと思うが、
それは問題ではない。

この「靴下ペアリング問題」を解決するアルゴリズムを考案した。

1. 一見してペアにできる靴下をペアにする。カジュアルな靴下は
かなりこの段階でペアにできる。
1. 次に靴下の特徴を覚えておいて、それを元にペアリングする。たとえば口のゴムが強力なタイプ、編み方が独特なタイプなどなど。ここをうまくやれば終了なのだが、それだけでは終わらないのが世の常なのである。
1. 残ったものの中でほとんど違いがなければそれを強制的にペアにしてしまう。一見して違うものは残す。
1. 残ったものは洗濯物かごに戻す。たぶん来週あたり相方が現われるに違いない。

このアルゴリズムのポイントは3.の「ほとんど違いがないものを強制的にペアにする」ことである。

最初は違和感があるが、よく考えてみると見て違いがないならそれは同じとしても問題ないのである。確かに色落ちが違うとか、ほつれ具合が違うなどの気になる点はあるが、それは経年劣化によるものであり、不可抗力である。一見して大して違いがないならそれは同じと見なしてよく、もっと言えば同じなのである。

一見して違うのならそれは片方が部屋のどこかにあるということだから、洗濯物かごに戻して部屋の掃除でもするのがよかろう。

## ハンギング

こちらは厳密に言えばアルゴリズムではないが、通念に反する思考であるから、記載しておく。

社会通念ではリスクを低減する一つの方法として「分散させる」という
やり方がある。

資産を現金・株・不動産に分散するとか、社長と副社長は別々の飛行機で移動する、通帳とハンコは別の場所にしまうなどである。

靴下を干すときにはこの「分散させる」という戦略を取ると却って
リスクが増大するのである。

たとえば4つの違う靴下を2つのハンガーに分けて干すとする。
便宜的に右靴下を右のハンガーに、左靴下を左ハンガーに干すとする。
この場合右のハンガーが風で飛ばされて行方不明になってしまった
場合、靴下の損失は4足になる。

しかし靴下をあらかじめペアにしておいてペア1とペア2を右のハンガーに、ペア3とペア4を左のハンガーに干しておけば、右のハンガーが行方不明になったとしても損失は2足で済むのである。

もちろん分散させておいても上述のペアリングアルゴリズムを使えば多少損失を低減させることができるが、それでもあらかじめペアリングして干しておく以上のリスクは残る(同等にさえならない)。

デジタルデータの場合など複製しておくことが可能なものならばこのパラドックスは起きない。起きることがありうるのは箸、スーツなどの物体であり、2パーツ以上ないと意味をなさないものである。これらは可能な限り1つのものとして扱わないと紛失時のリスクが高まる。

箸やスーツを1つのものとして扱うことは手間を少々掛ければ可能だが、靴下は一遍に洗ってしまうことが少なくない。
事実上靴下のみがこのパラドックスを起こすというのが現時点でのかりそめの結論である。